2022年7月15日、企業課題別のIT戦略事例を知るオンラインセミナー「IT surf seminar」を開催しました。各セッションの簡易レポートを公開します!

IT surf seminarは、株式会社Tooが情報システム部門や経営層の方向けに開催する【IT戦略で組織がもっと強くなるには?】を考えていくセミナーイベントです。
「人々がクリエイティブになれる環境をクリエイトする」をコーポレートミッションとするTooから、ITを活かしたクリエイティブな組織作りについて、企業を超えて考えるきっかけをご提供できれば幸いです。

今回は、Web・アプリをベースにサービスを展開する3社様から、これまでにぶつかったIT課題と取り組みを具体的にお話いただきました。

Session 1

設立18年目の企業での「業務という創作活動がもっと楽しくなる場所をつくる」コーポレートIT整備の挑戦

ピクシブ株式会社

コーポレート基盤部マネージャ
bash



ピクシブ株式会社様は、「創作活動がもっと楽しくなる場所を創る」をコーポレートミッションとして、世界中の人々の創作活動を支える事業をおこなっています。
今年で設立18年目となり、社内IT分野の整備・運用はコーポレート基盤部という(前身の活動を含め)まだ数年の若い部署で担っているそうです。

登壇者のbash様は「まじめなSE」をキャッチフレーズに、自作アバターを用いての登壇となりました。 拡大する事業規模と人員増加の中、社内ITという分野においてどのような取り組みをされているのかを、過去・現在・未来の3軸に分けてご紹介いただきました。



過去の部に当たる2017-2019年度では、まだ企業内の殆どをサービス開発に関わる人員が占めていたと言います。この時期に、「もっと会社を支えるひとたちを増やしていこう」という動きが出始めたことが語られました。
IT部門は当初フルコミットメンバーなしでの活動を始め、端末管理ツールであるJamf Proの導入をきっかけに、IT分野でもTooとの関係が始まります。

続いて、現在の部に至るまでで大きな転換期となったコロナウイルスの影響が語られました。
オンラインとオフィスの業務比重が逆転しましたが、ピクシブ様ではクラウドへの移行や脱LAN化が進んでいたため、自宅勤務への移行は比較的容易だったとのこと。bash様はこの転換期を、全体統合への足がかりをつくった時期と表現され、環境の変化を受け入れてくれた社内の人へ感謝の言葉を述べられたことも印象的でした。

そして現在では、社内 IT の整備方針としてはフルオンライン収容を前提に定まっています。過去に「小さく始めてみたこと」を整理・拡大し、より長期的な運用を目指している時期と説明されました。



そして未来の部では、創作活動の需要が上がっていることを述べ、社内ITも常に挑戦していく姿勢が大切だと強調されました。事業内容・規模・企業文化が変わっていく中で、どう不確実性へ立ち向うか。
bash様は最後にご自身の経験から、ソフトウェアエンジニアリングの応用をお薦めされています。

セッションを通して、時代の変化と共に成長してきた社内ITの軌跡を教えていただきました。
事業成長やコロナウイルスによる働き方の変化など、多くの企業にも共通する課題に取り組まれた事例だったのではないでしょうか?

Session 2

組織の成長にあわせたセキュリティ強化

株式会社PHONE APPLI

コーポレート本部 本部長 兼 法務情報部 部長 
野越 行男



株式会社PHONE APPLI様は2008年に創業したWeb電話帳No1シェアの企業です。企業のウェルビーイング経営・コミュニケーションの変革を支援し、人々がいきいきと働くことを実現するサービスを提供することを目的としています。

2008年に創業し、50名未満のスタートアップから始まったという株式会社PHONE APPLI様。
社員が急増することで直面したIT・セキュリティの課題と対策について、非エンジニアである野越様が何を考え、どう取り組んできたかを共有していただきました。

セッションでは、人員の増加ステップを4つの段階に分けてご紹介いただきました。



まず第一段階として、社員が50名を超え、クラウドサービス事業を開始した際のお話をされました。この時期の最たる課題は、顧客の個人情報取り扱い開始による情報漏洩のリスクが高まったことでした。
しかし、初期はコストをかけられないため、保険に加入するなど運用でカバーすることを意識されたそうです。

社員が100名を超えた第二段階では、製品の需要が顧客のクラウドシフト急進により増える一方、セキュリティチェックシートへの回答を求められるケースが増えたそうです。この課題には、専任の情シス部門を置き組織的に対応したり、新しいセキュリティソフトを導入したりすることで対応されました。

社員が200名を超える第三段階の頃には、運用によるカバーに限界を感じ始めます。人員増加に伴い、Mac端末も増加したことがその要因です。そこで、Jamf ProをIntuneと共に運用開始し、そこから1年ごとにPCへのEDR導入、サーバへのEDR導入と進めていきました。

人力でカバーするのではなく、ツールの力で課題への対応をおこなう準備が整いました。

そしてコロナ禍以降、テレワークが標準の働き方となった第四段階では、セキュリティと心理的安全性が求められるようになりました。サービス基盤全般にEDRや多要素認証、SSOを導入するなどセキュリティ対策を進める中、心理的安全性を守るためリモート1on1のシステムを導入された取り組みが印象的でした。



最後に、プライバシーマークやISMSの審査、デューデリジェンス対応などについても一部触れられました。今後は、セキュリティ教育拡充や、セキュリティエンジニアの育成にも取り組んでいく予定とのことでした。

セッションを通して、事業が急成長した会社ならではのセキュリティへの対応を、段階的にご紹介いただきました。スタートアップ企業では目の前の課題解決一辺倒になりがちな部分もありますが、今後の人員増加を見据えて先行事例を知り、早めに対策を考えておくことが必要と言えるでしょう。

Session 3

クリエイターに寄り添うITチームと管理統合の仕組み

株式会社コロプラ

IT戦略室 システム管理グループ マネージャー 
木戸 秀作



株式会社コロプラ様では、グループ全体で1,000名を超える従業員規模で、多くのクリエイターが日々人気アプリの運用や改善をおこないつつ、次なる開発にも取り組んでいます。
テクノロジーの進化が目まぐるしい中、現場を支えるシステム・デバイス・アカウントの運用管理や組織のフェーズごとのIT施策について、お話しいただきました。

木戸様が入社した2014年以降、大人気アプリ「白猫プロジェクト」のリリースがあり、会社規模が急激に拡大したそうです。人員増加のタイミングでオフィス移転の話もあり、木戸様を含め5.6人前後のメンバーで移転プロジェクトを実行されたとのことでした。



会社規模が急拡大することで、毎月入社する30-50人のキッティング対応や、ファイルサーバーの容量不足などITチームにはさまざまな問題が発生しました。その中でも特に、木戸様が急務と捉えたのはファイルサーバーの入れ替え(クラウドストレージの導入)です。クリエイターの創作・成長を止めない環境整備こそが事業スピードを落とさない為に最重要であるという視点は、創作活動を主事業としておこなうコロプラ様ならではのものです。

現在のITチームでは、クラウドストレージに完全移行し、Jamf ProとIntune、Autopilotを使用してキッティング業務を自動化しているとのことです。意外と手作業で何とかなってしまうことでも、組織を大きくしたいタイミングで対策しておくことをお薦めされました。

対談相手であるToo Apple事業開発部・福田弘徳からの質問にも答える形式で、具体的な取り組みやエピソードのご紹介が続きました。



対談の最後では、モバイルゲームソフトウェアに求められるハードウェアスペックについてお話がありました。今の時代は、モバイルゲームでもコンシューマーゲームに近い画作りを進めていて、求められるハードウェアスペックも高まってきています。
ITチームとしては、ハードウェアの特性を理解するためにも、最新のゲームを可能な限りプレイするようにしているそうです。現場の開発を支えるため、日々悩みながらも最適な端末選定ができるよう様々な情報収集をされています。

クリエイターの現場を支える立場ならではの意識や取り組みについて伺うことができるセッションでした。企業の成長を止めないための取り組みは、どんな企業にも通じるお話であったように思います。

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